ありふれた病気ですがあまり病名は知られていません。
皮膚科の常在真菌(カビ)Malassezia
族によって出来ます。
主に成人の前胸部や背中などにでき皮膚が茶色と白色のまだらになります。
しかし、かゆみなどを伴うことが少ないので、放置すると白斑(皮膚が白くなること)や
色素沈着が長期化することがあります。かゆみを伴うと少し赤みがあります。
このカビがいると必ず出来るわけではありません。
残念ながら出来る人と出来ない人の差が何かは分かっていません。
汗かきの男性に多い傾向があり皮脂の分泌が関係していると言われています。
Malasseziaのイースト型(丸い型)は常在菌(普通に皮膚に存在して病気を起こさない)で
Malassezia
は、菌糸が伸びた型で癜風を起こします。皮膚病の主な病因生物の種類と大きさ比較
その他、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎に発症に関与が疑われています。
また、尋常性ざ瘡・毛嚢炎に似たマラセチア毛包炎を起こすことがあるので注意が必要です。
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実際の顕微鏡写真パカーインクで青く染色されます。
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左の写真の拡大してモシキ化した図です。
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治 療
抗真菌剤(カビを殺す薬)の外用や内服が必要です。
夏に汗をかいたら、こまめにシャワーを浴びたり下着を清潔に保ったりすることなどが必要です。
初期の癜風には抗真菌剤はよく効きますが。
古くなった特徴のある色素沈着や脱色素脱失には、抗真菌剤の効果はないとされています。
提示:癜風後色素沈着様に液体窒素療法が有効だった例
マイクロスコープ像
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マイクロスコープで疣様の隆起が多数ありました。
尋常性疣贅(いぼ)の関連を疑いスプレー式液体窒素を開始しました。
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胸にスプレー法で液体窒素療法開始時 来院12回目
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スプレー法で液体窒素療法開始後 10週間後 来院19回目
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スプレー法で液体窒素療法開始 17週間後 来院22回目
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スプレー法液体窒素療法+ レモンマートル外用を開始 2.5週間後 来院23回目
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スプレー法液体窒素療法+レモンマートル外用
半年後
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来院23回目の検査結果
H22.2.10に初診
16才 男性 柔道部 幼児期からアトピー性皮膚炎があり 現在も残っています。
ステロイドと保湿剤で一般的な治療が断続的に行われていました。
他医院での長期一般的ステロイド治療が奏功していないのでウイルス性疣贅の関連を疑い液体窒素療法を顔・首と腕を中心に開始していました。
顔を含む上半身が酷く色素沈着と紅斑と痒みがあります。
胸の色素沈着部は、他院で癜風の診断によって抗真菌剤使用したことがあります。
当クリニックの検査では陰性でしたが、血液検査でマラセチア(癜風菌)
RAST値の上昇から癜風後の色素沈着と診断しました。
マイクロスーコプでの拡大で角化性の隆起が観測されたので他の部位と
同様にスプレー式液体窒素治療器で治療を行いました。
通院間隔は、1〜3週間に1度程度で余り定期的ではありませんでした。
胸の色素沈着の治療の開始は来院12回目からで、
開始10週間後の19回目から色素沈着の薄くなりが始めて17週間後の22回目では、
明らかに改善しました。
来院の間隔が一定していないので治療の間隔が不定期であったにも
関わらず徐々に軽快しています。
胸部の左側の色素沈着が強く残る部位に10%レモンマートル・オリーブオイル外用で
17日後に色素沈着の消退傾向がありました。現在も治療は、継続中です。
処方:アトピー性皮膚炎の痒み対策
内服は、クラリチン・黄蓮解毒湯・温清飲
外用は、身体と四肢はL-メントール・レスタミン
コーワ
クリーム・アンダーム軟膏 mix 顔には
レスタミン
コーワ
クリーム・アンダーム軟膏 mix 保湿の為に
ヒルドイドソフトを使用しています。
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私の深読み(推測)
癜風で特殊な色素沈着が残るのは癜風菌から活性物質が出てこの形に皮膚で増えていたHPVの排除反応が起こりゆっくり・弱く継続しているためではないかと考えています。
液体窒素で局所の免疫を高めることに依って、
排除反応が強くなり排除が終わったところは
真皮へのメラニンの脱落が起こらなくなるので
徐々に色素沈着が取れてきているのではないかと考えています。
色素沈着のメカニズムの推測
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抗真菌剤(水虫・カンジダ・癜風菌などの薬)
癜風菌が関連がある病気