当クリニックで使用中/非ステロイド系痒み止めのまとめと比較

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<始めに>

非ステロイドの痒み止めでも想像以上に痒みが止まります。
ステロイドとは異なり炎症を全てを止める訳ではないので
紅斑(赤み)・浮腫(腫れ)などには、
効果を示しません。
免疫力(抵抗力)の低下は、殆どありません。
ステロイドほど強力な抑制力は、経験的にはありません。
非ステロイドの痒み止めと
ステロイドを上手く使い分けることを心掛けています。

2008/5/24:第24回日本臨床皮膚科:発表内容 まとめと作り方・処方の仕方

カブレ(接触性皮膚炎)を心配している方への意見↓ 
第77回日本皮膚科東京支部学術大会 Q7
第 112 回 日本皮膚科学科総会 Q6

おことわり
★データに記載しているの効果・刺激感・効果持続時間・痒みVASは全て患者さんからの
聞き取り調査で患者さんの性格などにも左右されるので
客観性には乏しいのですが、
実際のデータなので
臨床的には役立つものと考えています。

★効果・刺激感・効果持続時間・痒みVASは全ての
患者さんから全ての項目の聴取を行うことは無理でした。
幼児・小児では保護者からのな聴取しました。
成人でも聴取が無理な場合がありました。
 

 (アンダーム軟膏が販売中止になったのでスタデルムを使用しています。)

  

処方の仕方と作り方

リンクをクリックして下さい。

 <違い>

 詳細はリンクをクリックして下さい。

 

12%乳酸ナトリウム親水軟膏
L-メントール・レスタミン軟膏
レスタミン・アンダーム軟膏
【主作用機序の推定】
【主作用機序の推定】
【主作用機序の推定】
 

神経末端?+保湿


高濃度の乳酸ナトリウムがシグナル伝達のCaをキレート作用で
減少させて痒みのシグナルの
伝達をブロックしている
可能性を推測しています。

刺激による
痒み刺激の麻痺

抗ヒスタミン作用

両者の相互作用

 

プロスタノイド系の酵素阻害

抗ヒスタミン作用

両者の相互作用

【特徴】
【特徴】
【特徴】
比較的効果持続時間が長い。
速効性がある
刺激が少ない。
【一言】
【一言】
【一言】

乳酸ナトリウムには保湿効果があり冬期の乾燥性の湿疹にお薦めです。

L-メントールには清涼感があり
夏期の強い痒み対してお薦めです。

今回、比較した3種類の軟膏内で刺激感が少なく使い易い軟膏です。

【追加の一言】
この3者全てが効果が無い場合でもスタデルム軟膏が効果を示す場合があります。
 

 
データ比較> 

乳酸ナトリウム親水軟膏

L-メントール・レスタミン軟膏

レスタミン・アンダーム軟膏
平均持続時間
10.6時間* n=223
6.5時間 n=86

8.6時間 n=106
痒みVASの影響

大幅な低下 n=76:

低下傾向 n=79

低下 n=102
即効性

あり

あり

なし(30分位)
効果 n=346:n=126:n=184
痒みVASの影響

影響あり n=115

反比例な影響 n=100

影響あり気味 n=139
効果あり

65%

75%*

72%

効果あり気味

7%

6%

8%
効果なし

23%

16%

18%
悪化

5%

3%

2%*
刺激 n=222:n=:100n=3
痒みVASの影響

影響あり n=115

反比例な影響 n=86

影響少ない n=112
刺激なし

82%

84%

95%*
刺激気味

8%

4%

3%
刺激あり

10%

12%

2%*
効果持続時間の分布 n=223:n=:n=
長時間

56%*

23%

31%
中間

23%

29%

43%*
単時間

21%

48%*

26%
効果持続時間の痒みVASの影響
痒みVASの影響

明らかに低下 n=76

低下傾向程度n=79

明らかに低下 n=102
 

*3つの軟膏の中で最も優れた値:**同じ軟膏で最も多い効果持続時間帯

 


 

それぞれの痒みの程度(痒みVAS)の影響へ

(殆どの例は問題ありませんが・Th2系が活性化されるためか?使用中に急激に悪化する例も稀にあります。十分な経過観察して対応して下さい。)

 

(10時間>中間群>5時間)

12%乳酸ナトリウム親水軟膏 効果持続時間の分布 平均=10.6時間

 

評価母数=346人(持続時間記載あり 223人分のデータ)
0〜86才 平均31.1才 男:女比 168:178(2〜86才 平均33.5才 男:女比 102:120)
調査期間 2006・12・1〜2007・8・28(2006・12・1〜2007・8・28)

 

 

 

 

L-メントール・レスタミン軟膏効果持続時間の分布 平均=6.5時間
 

評価母数=126人(持続時間記載あり 86人分のデータ)
0〜76才 平均31.1才 男:女比 60:66(5〜72才 平均31.0才 男:女比 36:50)
調査期間 2007・24・1〜2007・9・30(2007・24・1〜2007・9・28)

 
レスタミン・アンダーム軟膏効果持続時間の分布 平均=8.6時間
 

評価母数=184人(持続時間記載あり 106人分のデータ)
 0〜77才 平均28.1才 男:女比86:98 
調査期間 2007・9・3〜2007・10・25

 

 

 

作り方と処方の仕方

1)は、処方箋で処方できませんが2)と3)はで処方できます。

1)12%乳酸ナトリウム親水軟膏の作り方(薬局製剤;自家製剤 自費 参考価格;600円/100g)

★120mlの軟膏つぼに50%乳酸ナトリウム溶液(原液)を24g入れる。
★親水軟膏を入れ全量を100gにして、混合する。      センター南/太陽薬局/山本 利夫 

12%乳酸ナトリウム溶液/軟膏

2)L-メントール・レスタミン軟膏 1:30で処方 清涼感が強い場合は、L-メントールの割合を減らして下さい。
L-メントール 日本薬局方収載品目 参考製品 薬価は1g 単位
L-メントール「ホウエイ」薬価 20.30 〜メルク製薬 薬価 27.10 その他 多数あり
ハッカ油・ハッカ水でも代用可能です。処方例:L−メントール 1g 混合 レスタミン軟膏 30g
L-メントール・レスタミン軟膏

3)レスタミン・アンダーム軟膏 1:1で処方
処方例:
アンダーム軟膏 10g 混合 レスタミン軟膏 10g

レスタミン・アンダーム軟膏

2)と3)の軟膏は混合して処方する場合があります。 

   まとめ(3種類の比較) 

 


当クリニックで使用中のその他非ステロイド軟膏(データは取っていません。)

スタデルム

上記のデータを集めた非ステロイド系の3種類の全てで効果が無い
3症例でもスタデルムが効果を示しました。
痒みVAS=4でレスタミン・L-メントールmixのみが1時間効果あり/刺激気味な例で
スタデルムが4時間30分効果がありました。 
非ステロイド系の4種類全てが効果を示さない例も1例経験しました。
全ての非ステロイド軟膏効果の出ない症例も存在します。  
その他

親水軟膏+L―メントール(身体・手足) 
スタデルム軟膏+レスタミン 
スタデルム軟膏+レスタミン+L―メントール(身体・手足) 
ビーソフテンローション+L―メントール(頭)
5%サリチル酸+L―メントール(身体・手掌・足底)
10%サリチル酸+L―メントール(手掌・足底)


まとめ

アトピー性皮膚炎を含む長期に痒みの続く湿疹群がSDD(h)に含まれると仮定すると
長期のステロイドの使用はこれらの湿疹群の治癒期間を延長する可能性があります。
上記の非ステロイドを上手く組み合わせて使用することで、
痒みをコントロールすることをお薦めします。
SDD(h)を受け入れられない方もステロイドの外用を拒む患者さんに使用して下さい。
掻爬を止める事は、治療に役立ちます。
★レスタミン・アンダーム軟膏は、
殆どの例は問題は生じませんが・
Th2系が活性化されるためか?使用中に急激に悪化する例も稀にあります。
十分な経過観察と適切な対応が必要です。

アンダーム軟膏の販売が終了したので現在は、
スタデルム軟膏+レスタミンを使用しています。
スタデルム以外のNSAIDSでも構わないと思います。?

 


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