免疫(アレルギ−:記載は、主に獲得免疫)とは 

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免疫は本来皮膚の表面のバリアを越えてから入ってきた
細菌やウイルスに対して
防御するために発達したシステムですが、
なる敵(癌細胞)を攻撃するためにも働いています。
防衛システムとしては生物が本来持っている
自然免疫(TLRsなど)もありますが、
ここでは高等生物に発達した
獲得免疫を中心に書きます。
防御システムの反応性は、個人差・環境(大気汚染・紫外線など)・感染(ウイルス・最近)食生活・ストレスなど
影響を受けます。
外からの侵入物の排除には、免疫システム以外も複雑に連携して関与しています。
内なる他者(異物)である悪性腫瘍の排除にも働きます。
間違えて自分を攻撃すると
自己免疫疾患を起こします
食べ物や花粉に過剰に反応するいわゆる「
アレルギー」も起します。

防御システムとしては、入ってきた侵入物を食べる貪食細胞と呼ばれているものがまず働きます。
この初期の防御システムを越える侵入物に対しては、抗原提示細胞(免疫システムのオペレーション細胞)が
種々の伝達方法で指令を出して、Tリンパ球と呼ばれる細胞を応援に向わせます。
抗原提示細胞(樹状細胞)とTリンパ球(サプレッサーTとヘルパーT)などが
複雑に絡みあってバランスを取っています。
その他の役割のTリンパ球もいますが、
Tリンパ球が指令を出してBリンパ球と呼ばれる細胞が抗体(IgG・IgM・IgAなど)を
作り異物の侵入に対抗します。
ある種のTリンパ球やマクロファージ・好中球系は直接侵入者の排除に関与します。
Tリンパ球Bリンパ球は共にリンパ球です。
さらにサプレッサーTリンパ球は、Th1とTh2などがあり、
これらもお互いに監視してバランスをとっているとされています。

 

 
アレルギーを起しやすい人

アレルギーを起しやすい状態の図
  

 
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ヘルパーTリンパ球にはTh1とTh2があり、
Th1とTh2がお互いを抑制してバランスを取っていますが、
Th1が上手く働いていないとTh2が優位になり種々のものに
簡単に反応してしまう
体質(アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・花粉症・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・喘息など)になりやすくなります。
Th1は、ウイルスなどの防御にも関係しているので
感染症(尋常性疣贅/いぼ・伝染性軟属腫/水いぼ・伝染性膿痂疹/とびひ など)にもなりやすくなります。

Th1/Th2のバランスの崩れ方の程度には、個人差があり、
症状の現われ方も異なります。
種々のものに影響されてTh1/Th2のバランスが変化します。

AIDSでは、Tリンパ球が傷害を受けるのでこれらのシステムに上記より酷い乱れが起こります。


妊娠と防御システム(免疫)
  • 赤ん坊の遺伝子の半分は母親と同じですが半分は異なります。
    母親と胎児は
    異なる個体(人)です
    母体には胎児の排除反応が起こらないような種々のシステムがあります。
    妊娠中は排除反応(防御システム)も
    低下が、産後に回復します。
    この変化が母の皮膚病に影響を与えます。
  • 妊娠中は胎児を攻撃しないために母体自らの免疫を低下させているので、
    一時的に感染に対しても弱くなっていますが、出産後は元に戻ります。
  • もし、慢性感染があると、一時的に戦いが止まるので見た目は良くなりますが、
    出産後は戦いを再開するので、
    悪化します。
    運がいいと妊娠中にゆっくり戦うことによって排除が進み治癒することもあります。
    したがって妊娠・出産を経て良くなることも悪くなることもあるります。
  • 生理は、軽く妊娠と出産を繰り返しているのと似ているので軽く同様な免疫が動きます。

                                  SDD(h)

 

 

免疫力を弱めるとされているもの
  • HIV感染→AIDS
  • 過度なストレス
  • アルコール
  • 煙草  悪化するとされている皮膚病;掌蹠膿疱症尋常性乾癬
  • 脂肪
  • 妊娠 上記に説明              SDD(h)

脱感作 害のない外からの侵入者、例えば、食べ物や普段よく触るダニや花粉に対しては、
反応しないようになっているのが通常です。
難しい言葉では、
免疫寛容(めんえきかんよう)又は、脱感作(だつかんさ)と言います。
この機構をうまく作れないと、
接触性皮膚炎(かぶれ)・
食べ物アレルギーなどの病気として現れることがあります。
反応を起こしやすくなるものがあります
アジュバント効果へ

自己免疫疾患 自分で自分の身体を攻撃する
病気(
SLE、RA、皮膚筋炎・ 円形脱毛症?、尋常性白斑?、類天疱瘡 天疱瘡など)もあります。
これらは、リンパ球や自己抗体ができて自分を攻撃しているとされています。

経口免疫 口から消化管を通過するアレルゲン(アレルギーの原因物質)に対して
免疫寛容又は脱感作が、誘導されることです。
例えば、子供の時に卵を食べられなった人が徐々に平気になることはよくあります。
これを利用してダニアレルギーの人にダニの抗原を経口に摂取して脱感作を誘導させたという実験結果もあります。
      実例 
杉花粉飴へ

消化管の細菌叢の乱れがTリンパ球のバランスを崩してアレルギーなどの原因になっています。
消化管の細菌叢に影響するものには、年齢・個人差・食べ物・抗生物質・ストレスなどがあると言われています。
最近この乱れを治すのに有効なビフィズス菌が注目され機能性ヨーグルトが多く発売されています。

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 即時型アレルギー反応 

IgE抗体(Bリンパ球が作る)とマスト細胞ヒスタミンなどを作って、放出する細胞)と
呼ばれるものが主に関係したもので液性免疫とも呼ばれています。
蕁麻疹や花粉症、アトピー性皮膚炎?などの病気と関係しています。
Th2優位によって産生が高まります。

アナフィラキシーショックとは、


頻脈、低血圧、呼吸困難などを起こす
危険な即時型アレルギー反応(すぐに起こる反応)で
早期の処置を行わないと
生命が危なくなります。
蕎麦アレルギー、スズメばち毒素に対するアレルギーなど、
が有名ですが、キウイ、ラテックスなどの報告もあります。
その他、珍しい食べ物で起こることもあり注意が必要です。

ショックを起こす可能性がある方は
エピペンの携帯をお勧めします。

 遅延型アレルギー反応 
リンパ球(主としてTリンパ球)を中心とした反応です。
かぶれ、虫刺され、ツベルリン反応などが関係しています。
この反応の特徴は、1日目はあまり強くない反応でも2日目に強く反応します。
つまり
ピークは2日目です。
 

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 アレルギーの始まり方

生まれて初めて触れた抗原の場合は、すぐには反応しないで
感作(抗原に反応するようになること)期間が
10日間くらい(人間)必要とされています。

アレルギーの検査

即時型アレルギー反応(検査)
15分位で反応がピークになります。従って判定は、通常15分後です。

皮膚検査;皮内、スクラッチ、プリック法があります。
判定は、15分後に行います。
血液検査: 抗原(原因物質)に反応する
IgE抗体の血液中の濃度を測定する
RAST法(一般にアレルギーの検査として行なわれている/採血による検査)
などがあります。
その他、抗原に対するヒスタミンの分泌量を測定する方法もあります。
アトピー性皮膚炎蕁麻疹、薬疹、口腔アレルギー症候群 喘息や花粉症などの検査として行われます。

RASTの結果とアレルギー反応 食物アレルギーとRASTへ

RAST法は、血液中のIgE抗体が、どんなものにくっつくかを調べる方法であくまでも
即時型反応の検査の一つです。
遅延型アレルギーの検査ではありません。
だだし遅延型アレルギー反応と交叉することがあります。
RAST法で高値(4以上)の場合は、
交叉することが多いと言われていますが、絶対とは言えません。
RAST法は、本来・即時型アレルギーの検査ですので、
遅延型アレルギー(カブレ、食べ物アレルギーなど)の検査としては不十分です。

RAST法が陽性でも遅延型反応が陽性の場合も、陰性の場合もあります。
逆に、RAST法が陰性でも遅延型反応が陽性の場合もあります。
遅延型反応の検査は、あまりいいものがありません。
スクラッチパッチテストなら、ある程度一致する可能性があります。
食べ物でしたら、消化・吸収の問題もありますし
薬も代謝産物の可能性もありますので、
経口か内服試験でないと陽性に出ない可能性もあります。

実際には、RAST法でスギ花粉が陽性でも花粉症の症状の出ない人もいます。
中和抗体が最初から誘導されたのかもしれませんが…不明な要因の可能性もあります。

 

その他に、抗体や補体などが関係する反応もあります。

 

遅延型アレルギー反応(検査)

通常48時間位で反応がピークになります。
稀に3日目、4日目にピークになることがあります。
したがってツベルクリンや接触性皮膚炎などの
判定は通常2日後です。
少なくとも2回の通院が必要です。
2日目に医院が休みになる日からは始められません。
皮膚検査 
  • パッチテスト:接触性皮膚炎(金属アレルギーなど)薬疹など
    皮膚に調べる試料を貼るだけです。陽性率は、余り高くありません。
    簡単・安価
  • スクラッチパッチテスト:アトピー性皮膚炎、スギ花粉症皮膚炎薬疹など
    皮膚を針などで傷つけてからパッチテストをする方法、陽性率はUPしますが少し痛いです。
    簡単・安価
  • 光パッチテスト:光接触性皮膚炎 光を当てて行うパッチテストです。
  • ツベルクリン反応;結核・免疫力のテスト
  • DNCB;免疫力のテスト
上記の検査の判定は、2日後に行います。

血液検査

  • DLST(Drug リンパ球刺激試験):薬疹 採血して試料(薬剤)と
    リンパ球を培養して反応をアイソトープで測定します。
    陽性率は、余り高くありません。簡単・高価 
  • LST法(リンパ球刺激試験)薬疹・免疫力のテスト・膠原病などの検査として行われます。
    採血して試料とリンパ球を培養して反応をアイソトープで測定します。
    試料によって陽性率は異なります。簡単・高価
    *「アイソトープとは、放射能(α・β・γ線など)を発生する人工同位元素を含みます。
    試料(薬剤など)とリンパ球を混ぜて培養した時のリンパ球の核分裂を放射線の量として測定します。
    通常チミジンの人工同位元素を使用します。
    1検体当たり
    10〜15mlの採血が必要です。
    検査の結果が出るには1週間位必要です。
 

 

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