第27回日本臨床皮膚科医会総会 

発表内容 スライドショー

Q&A

0228120111813

Top ちかかね皮膚科  戻る

先頭の数字か質問をクリックすると回答に移動します。 

 

想定(予想)質問

 

1.液体窒素療法のやり方は?

2.症例1.2は自然治癒する可能性はありませんか?

3.補助的に役に立つものはありますか?

4.期間はどの位必要ですか?

5.スプレー式液体窒素の始め方

6.気を付けることはありますか?

7.保険についてどうしていますか?

8.どんな時に疑いますか?

9.器具はどんなものを使っていますか? 

 

 

実際の質問

 

@1液体窒素療法は、何処に効果を発揮していますか?

@2スプレー式液体窒素で水泡形成しない為の工夫を教えて下さい。

@3スプレー式液体窒素後の色素沈着についての考えを聞かせて下さい。

@4難治性の皮膚病にはいぼウイルスが関係している可能性がありますか?

@5皮膚表面に隆起性病変があれば、HPV感染を考える必要がありますか?

@6バリア障害のある状態ではHPV易感染状態にありますか?

@7HPVの遺伝子検査で陽性例はあるのだろうか?

@8単純ヘルペス感染も少なくないが、併発頻度はどの程度なのですか?

@9再発性の高い疾患なのでHPV ワクチン療法は有効ですか?

@10液体窒素療法の皮膚傷害程度はどの位がいいですか?

@11この治療にステロイドの外用は必ず必要ですか?

@12この治療後にステロイドの外用の継続は必要ですか?

@13治療後に痛みを訴える患者が少なくないが、治療前後に鎮痛剤は必要ですか?

@14アトピー性皮膚炎?の血液検査の変動について質問します。

@15その他スプレー式液体窒素を使用することはありますか?肉芽には効果がありますか?

 

想定質問の回答

1.液体窒素療法やり方は?

液体窒素療法に対する反応は個人差があるので調整が必要です。
一般的には一瞬白くなるくらいか、更に弱めをお勧めします。
水泡形成することもありますので最初は、
弱めから始めて下さい。

 

「液体窒素療法」とは へ 
通院間隔

1週間に1度をお勧めしています。
10日以上で痒みが出た例を経験しています。
不定期な通院から定期的な通院で軽快した例も経験しています。
5〜20例に1人位が
見た目が悪化することがありますが、継続で治癒に向かいます。

 

工夫)子供は,試しに手にわざと軽く行い安心させてから始めると怖がらないことがあります。

ページのtopへ 戻る

2.症例1 、2は自然治癒する可能性はありませんか?

症例1は、「とげ?」は、取らないでも「心配ないので待って下さい。」の説明をして、
殆どの例は2〜3ヶ月位すれば
自然治癒する可能性が高いと考えられます。
症例2は、ダニとして治療を開始してステロイドの短期間の外用で掻爬が
減少して
殆どの例で治癒する可能性が高いので臨床的には問題にならないと推測されます。

湿疹などの、軽症な例で一般的な治療を行うと70%位が治癒しました。
10〜30%で治療方針の変更が必要ですが殆どの例は、
従来の治療で良くなっていると推測されます。

治癒力の弱い例は、従来の治療方法では
再発と寛解を繰り返すか徐々に悪化する可能性があると推測されます。

 

ページのtopへ 戻る 

3.補助的に役に立つものはありますか?

非ステロイドの痒み止めと酷い時のステロイド抗ヒ剤・クラリチン・タリオン10mg・ポララミンなど
痒み止めの
漢方の黄蓮解毒湯・温清飲・梔子柏皮湯排除に役立つ ヨクイニン散(コタロー)・十味敗毒湯・消風散・越婢加朮湯・柴胡桂枝湯・荊芥連翹湯など抗生物質・抗真菌剤や抗ウィルス薬が必要な場合もあります。

ページのtopへ 戻る

4.期間はどの位必要ですか? 

 

個人差はありますが5〜10回くらいで安定すると説明します。
普通は、
15回くらいの治療が必要と説明しています。
重傷度・出来ている場所・病像・過去の治療期間・免疫力の強さなどに依って異ります。
1〜100以上の治癒期間までの期間は、様々です。

「治療期間の目安」へ ページのtopへ 戻る

5.スプレー式液体窒素療法の始め方

経過が観察出来る身内(親族・同僚)の人から始められるのをお推めします。

 

6. 気を付けることはありますか?

治療中に見た目は悪化する場合がありますが・・継続で軽快します。
急に悪化して紅皮症様で寒気する場合は、サイトカインストームの可能性があるので、短期間のステロイド内服が必要です。
自家感作性皮膚炎様になった場合もステロイドの内服が必要です。
細菌・真菌・ヘルペス(カポジー水痘様発疹症・帯状疱疹など)の感染を疑う場合は、積極的に治療して下さい。
急激に悪化した場合は、
細菌感染症を疑い抗生物質の内服を早期に始めて下さい。

ページのtopへ 戻る

7.保険についてどうしていますか?

私は、保険で診療しています。ウィルス性疣贅ですから保険でやっています。いぼとはへ

自費だと高額になりますので恩恵を受ける人が減ります。

 

8.どんな時に疑いますか?

決まった場所で繰り返す場合や既存の治療で効果のない場合
例)ステロイド・抗真菌剤・抗生物質で良くならない。

ウィルスの排除を活性化するもの(見た目が悪化する原因) 
風邪・予防接種・花粉症・食べ物アレルギー・動物アレルギー・紫外線・低血圧・生理・岩盤浴・温泉・垢すり・食べ物ではニンニクやカレーなどの元気が出る食べ物で免疫が活性化されます。

ページのtopへ 戻る 

9.器具はどんなのを使っていますか? 

スプレー式の液体窒素治療器
「クライオプロ」「クライオサージ」「Brymill CRY-AC-3」とは、ほぼ同様の機器です。
「クライオサージ」は、昔から「おんでこ」が米国から輸入していた古いタイプです。かなり大げさな形をしています。
「Brymill CRY-AC-3」は「やよい」が米国から1999年から輸入販売しているコンパクトなタイプです。
「クライオプロ」は新しく「おんでこ」がデンマークから2005年から輸入販売しているコンパクトなタイプです。
「クライオプロ」と「Brymill CRY-AC-3」は外観の色が少し変わるくらいで殆ど同じです。
「クライオサージ」の販売は終了しています。
比較のページへ

治療する患部にスプレー状に噴射します。普段は、ノズルAを使用していますが「クライオプロ」に比較して
Brymill は、少し細いので19Gの注射針で削って口径を広げて使用しています。

機械の値段は、20万円弱です。この値段の中には、日本国内の薬事法を通過させる費用が含まれているので
本国に比べて割高になっています。

液体窒素の消費量はめん棒の5〜10倍位と言われています。

これらの機械は、液体窒素が入ったスプレーボトル(魔法瓶様)で中に入った液体窒素を治療する場所に
スプレー状に噴射して出来ます。
動画1 2 3

ページのtopへ 戻る

 

実際の質問(メールなど)への答えには、私見を多く含くみます。

@1 液体窒素療法は、何処に効果を発揮していますか?

「液体窒素療法は、免疫賦活して炎症を起こしていると考えています。
賦活化される機序は肝癌、 骨肉腫で言われている免疫療法療法の理論、
細胞凍結→細胞破壊 ・・→Tcellの活性→炎症反応・免疫応答→腫瘍細胞攻撃」


その経路もありますがHPVの場合はウイルスを含む細胞の攻撃
液体窒素の免疫の活性化の機序は明確には分かっていませんが、
皮膚に直接作用して自然免疫(TLRsなど)を活性化して
免疫賦活している可能性を疑っています。

その他、未知の免疫機構などが総合的に作用していると考えています。詳細は、不明です。

 ページのtopへ 戻る

@2スプレー式液体窒素で水泡形成しない為の工夫を教えて下さい。

液体窒素療法に対する反応性は個人差があるので、最初は反応性を確かめながら弱めから始めます。
出来やすい場所があるので注意が必要です。
患部に集中すると出来やすいので、
斜め方向から行っています。先を振ったりしています。
近付き過ぎない為には、スプレー式液体窒素器を持った腕の
脇を締めたりしています。
水ぶくれが出来やすい条件

 

@3スプレー式液体窒素後の色素沈着についての考えを聞かせて下さい。

「跡ではなくて原因のものがまだ残っています。」と説明しています。

その理由としては、詳細ページへ  治療例YouThbeへ

 ページのtopへ 戻る

@4 難治性の皮膚病にはいぼウイルスが関係している可能性がありますか?

合併または併発が少なくないと考えています。
難治性の皮膚病は、殆どが
いぼの自然治癒が見逃されているものが多いと考えています。

いぼとは 推測2へ

紅斑と掻痒は炎症反応が強く排除反応は弱い場合がしばしばあると考えています。

いぼとは 下段へ

@5皮膚表面に隆起性病変があれば、HPV感染を考える必要がありますか?

非隆起性病変でも疑っていいと考えています。

http://www.e-skin.net/v/der-sample.htm

このページの最下段見て下さい。

ページのtopへ 戻る

@6バリア障害のある状態ではHPV易感染状態にありますか?

HPVの排除反応で不全角化が先行して起こり角層の乱れが生じて皮膚のバリア障害が生じていると考えています。
卵と鶏が反対と考えています。つまりHPVの排除反応でバリア障害が起こるのが先で、そのバリア障害で細菌や真菌の感染誘発や
抗原の取り込みが進み炎症で角層が障害されてHPVの増殖を促進することに依って悪循環に陥っていると考えています。
保湿することは重要だと考えています。

一般的には、このHPVは外から感染とされていますが、このウイルスの稀な型の分布と頻度から
感染とは考えにくい点などから
HPVは、
核外遺伝で元々保有している可能性が高いとされ始めてきています。

参考)乾燥肌

http://www.e-skin.net/2ky/dryskin.htm

 ページのtopへ 戻る

@7 HPVの遺伝子検査で陽性例はありますか?

1例だけ、アトピー性皮膚炎の患者で疣らしくなった部分のサンプルを

大学の先生にお願いしましたが、・一般的な型のHPVは、検出されませんでした。

想定範囲内の結果です。 詳細説明

http://www.e-skin.net/v/evidence-difficultnreason.htm

尋常性乾癬・アトピー性皮膚炎では、証明されているのではないかと思っています。

PubMed の検索結果例(英文)★1 ★2

発表者は、尋常性乾癬・アトピー性皮膚炎にHPVの関与しているかどうにかついて言及していません。

 

その他興味深い論文

HPV Vulvitis(HPV外陰炎:女性の陰嚢湿疹?)

最初の頃の文献は、否定的でしたが肯定的な論文も出ています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18251739

"HPV外陰炎"・・・・・・HPVの遺伝子型の頻度と持続的検出

ページのtopへ 戻る

@8 単純ヘルペス感染も少なくないが、併発頻度はどの程度ですか?

ウイルスを排除する能力(免疫力?)が弱いためか帯状疱疹やカポジ水痘様発疹症
(単純性疱疹の拡大するタイプ)は比較的頻度が高いので注意が必要です。

 

@9 再発性の高い疾患なのでHPV ワクチン療法は有効ですか?

今あるのは、粘膜型が2種類あるだけなので殆ど皮膚型HPVには交差反応しないことになっています。

インフルエンザで開発中の型に関係ないワクチンと同様にHPVの型に関係ないワクチンを
理科研の先生と武田製薬が共同で開発中だそうですが、上手くいくかどうかは不明です。

@10液体窒素療法の皮膚傷害程度はどの位がいいですか? 1紅斑程度・2水疱形成する程度、のいずれがよいのですか?

冷凍免疫を期待して行っています。

一瞬白くなり、少し紅斑のでる程度で十分だと思います。反応性が強く容易に水泡形成する場合があります。
個人の反応の強さによってはさらに弱くする場合やいくら強くしても反応が少なかったり、
通院間隔を開けるか効果のない場合もあります。

抵抗力の個人差のページへ ページのtopへ 戻る

@11この治療にステロイドの外用は必ず必要ですか?

液体窒素療法・漢方などは、免疫の活性化を期待して行っているアクセルに相当します。
ステロイドは、免疫抑制剤です。つまステロイドは
ブレーキなので出来るだけ使用しないで
ブレーキとアクセルを踏み分けましょうと説明します。
急激に悪化してサイトカインストームを起こした場合は、
内服が必要な場合もありますが・・
外用は、その前段階の急に酷くなった時の為に処方しています。

 

@12 この治療後にステロイドの外用の継続は、必要ですか?

後半の安定期には、ステロイドの外用は必要無くなり、一部再発時も非ステロイド痒み止めで間に合います。
最終的には、必要なくなります。

 

@13 治療後に痛みを訴える患者が少なくないが、治療前後に鎮痛剤は必要ですか?

痛み止めを処方した経験はありません。

ページのtopへ 戻る

@14 アトピー性皮膚炎?の血液検査値の変動について質問します。

「38才男性例でTARC,IgE 値ともに症状の改善とともに減少してきているが、これらはIFN,TFN等の炎症性cytokines を誘発するfactorと考えてよいのだろうか?」


TARCは、Th2を誘導するサイトカインで皮膚からもでることが影響している可能性を推測しています。
IgEは、一般的にアレルギー程度の指標とされて、TH2がB cellを活性化して増加すると考えています。
アトピー性皮膚炎の非常に高いIgEはアレルギーとは別の意味があることを疑っています。

IgEは、アレルギーを起こすために備わっているのでは無く防御系の役割があるのでないかと推測しています。
一般的治療では、IgEは余り治療で変動しないことになっています。
この治療では、TARCだけでなく皮疹の改善に伴い
IgEも低下します。

@15 その他スプレー式液体窒素を使用することはありますか?肉芽に効果がありますか?

「凍傷後、病変角質層の脱落・正常角質の分化増殖が起こっていると推測されます。
因みに私が凍傷療法を行っている例で巻き爪などでひょう疽を併発している患者に、
直接、発赤腫脹している部分にあてています。
一日くらいで痛みが緩和し、最外層が脱落し治癒が促進されるので重宝しています。」


ページのtopへ 戻る

私も同様の経験があります。
これも、HPVが関係していて排除が進むためかと思っています。
その他にも、改善の可能性があれば種々の皮膚病にトライしています。
関係を疑っている皮膚病は
徐々に増えています。

例)砂かぶれ皮膚炎・後天性掌蹠角化症・酒さ様皮膚炎・尋常性乾癬・掌蹠膿疱症・皮脂欠乏性湿疹・結節性痒疹・
異汗性湿疹・汗疱・単純性粃糠疹・ウイルス性発疹症・手湿疹・接触性皮膚炎(かぶれ)・など 
詳細のページへ

Top ちかかね皮膚科  戻る