伝染性軟属腫(みずいぼ)

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当クリニックの治療方針

今までの質問と答え
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ポックスウイルス科の伝染性軟属腫ウィルス(molluscum contagiosum virus:人に、
水いぼを作るウイルス)が皮膚について増えたもので、通常は子供の病気です。


参考:
皮膚病の主な病原生物の種類と大きさ比較

アトピー性皮膚炎があるとなりやすく、治りにくい傾向があります。
年長者に出来たときは、大きくなる傾向があります。成人に出きることは極く稀です。
成人に殆ど無いということは、自然治癒(治癒する前に赤くなり、かゆみがでることがあります。)
するということなので取らなくてもいいという意見もありますが、個人差もあり、
放置すると大量に増えることもあります。
しかし、出来ている間は、通園やスイミングは禁止している施設があるなど
社会的要因から取ることもあります。
大人は、殆ど出来ることは少なく、子供でも
小学校の1〜2年の年齢では余り見かけなくなります。
治る頃に強い痒みを伴い、掻いて悪化させたり、別の病気を誘発することがあります。

個人差としては、水いぼの人と接触してもうつらない人からうつってどんどん増え
半年以上経っても自然治癒しない人までいろいろです。
子供は、一人一人違って、伝染性軟属腫の排除に関係する抵抗力の強い子供は
放って置いても自然治癒しますが、
抵抗力の弱い子供は、放って置いても自然治癒しないので
正しい処置ではありません。

みずいぼになり易い人
スイミングに通っている人や幼稚園や保育園にプールがある人

乾燥肌の人 皮膚のバリアを参照

12歳以下の子供

アレルギーを起こし易い人は、ウイルスにも弱いので起こり易い傾向があります。
Th1/Th2のアンバランスを参照

病院に行く基準

単純に個数では判断できませんが、5個以上に増加したら危険信号です。
増加の傾向が認められたら早期に治療しましょう。

危険因子 8歳以下で乾燥肌尋常性疣贅の既往(イボになったこと)があり、
本人や家族や親類に
アトピー性皮膚炎・花粉症・アレルギー鼻炎・アレルギー結膜炎・蕁麻疹・喘息がある場合は、
さらに少数でも早期に治療を開始すること勧めます。
一般的には少数の場合1回の通院で治癒する可能性が高いのですが、
数が増えると頻回の通院が必要になり子供に与える苦痛も増えます。
対応は、ケースバイケースです。

 治療

現在日本で一般的に行われている水いぼの治療

皮膚科医は処置を行いますが、小児科医としては、
「半年〜1年くらいで、自然に治癒するので自然に治るのを待つ!!」医師が大勢です。

特殊なピンセット:トラコーマ鑷子(せっし)で白い塊をつまんで取り除く。 

硝酸銀法で処置

ヨクイニンの内服

液体窒素で焼く

スピール膏を貼る

その他:スピール膏・イソジンなどを使う方法 

 

1の処置をする前にペンレステープ(局所麻酔薬のテープ)を事前に水イボに貼っておくと,
摘除する時の痛みがかなり軽減します。
2つの問題点詳細についてはこちら参照)があります。

  1)保険の適用がない。(厚生労働省は適正な使用と認めていない。)
  2)くり返し使用すると,アレルギー反応が生じる危険がある。

 
 

学校保健法施行規則が平成11年4月1日より一部改正されました。

 

1「水いぼ」は単に「通常登園停止の措置は必要ないと考えられる伝染病」
2「
原則としてプールを禁止する必要はない」ということが公に認められました。
ただし、重症な場合はビート板や浮き輪の共用をしない。

福井県鯖江市医師会は1988年、県内107の保育園 ・ 幼稚園を対象に、調査した。
水いぼの切除を原則とする園は56.6%で、ブールを停止している施設は62.9%あった。
しかし、切除していても、「水いぼを持つ子どもの数は
ほとんど変わらない」と
答えた施設が42.8%あり、20%以上の施設は「増加した」と回答している。
 
福井県鯖江市医師会  1988年

107の保育園 ・ 幼稚園

変化しない
増加した
減少

「水いぼ」をとるよう指導した園

42.8%
22.4%
26.5%

「水いぼ」をとらず放置した園

50%
25%
25%
言語や地域による対応の違い
●アメリカ(AADのHP参考)では、液体窒素療法が1番目の選択肢です。
いぼと同様の治療が行われています。腐食・ハーブ・レザー・除去も行われています。
●ドイツ語圏(Wikipedia参考)除去が1番目の選択肢です。
●イタリア語圏(Wikipedia参考)除去が1番目の選択肢です。
●フランス語圏(Wikipedia参考)麻酔して除去が1番目の選択肢ので、
次が麻酔して液体窒素療法がです。
●ポルトガル語圏(Wikipedia参考)処置をおこなわないが1番です。

その他の処置には、チガソン・イミキモド・アラセナA・レモンマートルなどがあります。

 

当クリニックでは、「水いぼ」と他院で言われて来院する方の多くが、マイクロスコープ確認をすると、
「水いぼ」と似た分布をするイボの事が多く
クライオプロ(
スプレー式液体窒素療法) を行う症例が多くみられます。

治療例

経過

4月8日 初診 写真にマイクロスコープでの拡大図も合成してあります。
 

4月8日
4月16日
5月14日
5月20日
6月3日
6月10日
7月12日
 

治療経過です。写真をクリックすると拡大出来ます。

 

乾燥肌のマイクロスコープ像の比較 

 

 

2才 男児 3か月前から発症した。

服を脱がせると掻爬行動がありました。
伝染性軟属腫様の皮疹と
肉眼で観察出来るいぼもありました。
Dry skin が目立ちました。

マイクロスコープで確認して水いぼ様のいぼとして写真撮影をしながら
液体窒素療法(
スプレー式)を開始した。
内服は、全経過中 ヨクイニンを継続 
ポララミンを痒みが止まる6週目まで継続しました。
保湿劑のヒルドイド ソフトと痒み止めとしての
レスタミン・アンダーム軟膏は、
初診時のみ処方でその後処方していません。

 経過

1回の液体窒素療法(スプレー式)でかなり軽快し経過順調で乾燥肌も改善しました。
13回目の液体窒素療法(
スプレー式)で治療を終了しました。
肉眼や触診では問題なく、マイクロスコープ上で微妙に残っていましたが、
実生活に問題がないと判断出来ました。
成長と伴に発達する免疫に期待して終了しました。

子供のドライスキンと免疫の発達:私見 学会発表へ 実例へ

 
 

 

同様の経過の3才女児例

 

その他:水いぼ様のいぼを疑った別の例

肉眼では、小さいブツブツが点在していました。
(確認出来なかったが腹部にブツブツが急速に拡大する出来方は、水いぼらしい分布ですが・・個々のブツブツは、水イボらしく見えません。)
小型なので硝酸銀ペレット法を行いました。
確定出来ませんが・・・・X40での像では伝染性軟属腫様の尋常性疣贅の可能性もあります。
123マイクロスコープで疑いのある例

 

治療時の注意

肉眼的に明らかに伝染性軟属腫でも伝染性軟属腫として処置を開始する前に
マイクロスコープでの確認をお勧めします。
尋常性疣贅(いぼ)としての治療が適当な場合もあります。

このことを説明しても頑なに取ることを主張する親は、代理ミュンヒハウゼン症候群の傾向が疑がわれます。

注意)伝染性膿痂疹(とびひ)を合併している時は、取ると取った傷に伝染して急速に、
伝染性膿痂疹(とびひ)が拡大する可能性がありますので
伝染性膿痂疹(とびひ)の治療を優先して治癒の後、水いぼの処置をするのが安全です。

 

 

取ることの意味を考えさせられた例

 

水いぼの女児

何ら治療されていない状態で来院されました。肉眼では見えませんでしたが、
マイクロスコープで確認すると成長した大きいイボ(丘疹)の周囲に小さい紅班がみられます。
治療は液体窒素療法が行われました。再診していないので経過は不明です。

写真をデジタル的に拡大しても紅斑を伴うぶつぶつと無数の小さいブツブツが観察できます。
肉眼で確認できるものを取ったとしても周囲に
肉眼で見えない大きさのものが残るので
余り意味ないように思えます。

 

しげはら小児科内科医院  茂原 嗣也先生の提供の症例です。

 

 痛くないみずいぼの取り方の試みと、その問題点

1. ペンレステープ法(局所麻酔薬のテープ)を貼り1〜2時間後に取る方法。
(キシロカインゼリーの場合もあります。)
問題点1:薬によるショック(血圧低下など)が起こり得ます。非常に少ないですが報告はあります。
有効な方法ですが十分な注意して行う必要があります
2. 硝酸銀ペレット法 40%硝酸銀(腐食剤)に25%の小麦粉を混ぜてみずいぼに塗る方法。
問題点1:材料が作り置きが出来ない。
問題点2:あまり多く一度に行うとかゆみが出ることがある。
問題点3:皮膚が黒く変色する。ただし、一ケ月位後には元の色に戻ります。
問題点4:大きい伝染性軟属腫(水いぼ)には、余り効果が期待できません。
問題点5:引っ掻いたものには、しみます。施行後、直後に痛みを伴なったり、痕がしばらく残ることがあります。施行後すぐにティシュペーパーでふき取ることで痛みの発生を減少させられます。
問題点6:施設や施行者の手に付くとなかなか取れません、注意して行って下さい。
施行者は、手袋を使用することをお勧めします。
3. 坑ウイルス剤などの外用 
問題点1:現在臨床試験中で
実際には使用できないことです。
多分5〜15年先に実際に使用できるようになると思われます。その他の問題点は、不明です。
.ヘルペス用の坑ウイルス剤などの外用が効果があるとWeb 上で「
うわさ」が流れていますが、
真偽は、不明です。保険適応外です。かなり高額です。
5.イソジン消毒液やステリハイド(20%グルタールアルデヒド)外用
多少効果があります。3〜4週間と時間がかかり痒みを伴います。
当クリニックでは行っていないので詳細は不明です。
6.スピール膏を貼って除去
確実性に問題があります。
7.イソジン消毒液を塗る方法
確実性に問題があります。
8.その他にも腐食剤・ハーブなどを塗る方法
やはり確実性に問題があります。

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