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第 112 回 日本皮膚科学科総会 
2013年 横浜 6月14日(金)〜16日(日) P53-7

難治性酒さ様皮膚炎と口囲皮膚炎に対する治療の試み

-スプレー式液体窒素と漢方が有効-

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Q&A

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口囲皮膚炎 酒さ様皮膚炎
 

 

発表内容 
 

   
抄録(簡単な内容)

 

症例1:67歳女性、4年前から両頬部の紅斑と血管拡張があり、
他院で酒さ様皮膚炎として治療歴あり。

症例2:58歳女性、1年前から口囲を中心とした紅斑・丘疹・鱗屑・落屑があり、他院で口囲皮膚炎として治療歴あり。

両症例共にステロイド外用プロトピック・ミノマイシンなどの治療が試みられていました。共に非常に悪化した状態での来院。

マイクロスコープ像や臨床写真の拡大からウイルス性疣贅の関連を疑い、冷凍免疫を期待して、スプレー式液体窒素を中心とした治療を行いました。

類似の疾患と言われている酒さ様皮膚炎と口囲皮膚炎に、この免疫活性化療法が奏功しました。

従来の治療で治癒に向かう症例がある一方、抵抗性の症例もあります。
抵抗性の症例に免疫の活性化が奏功する理由の推測も提示します。

同様の治療を試みて改善した他の症例も併せて供覧します。

 
横浜で開業して15年になります。偶然が重なって行っている治療法があります。
治り難い皮膚病の治療に役立っています。
説明するのに適当な症例に巡り会ったので報告します。(クリック)
酒さ様皮膚炎と口囲皮膚炎は、ステロイドプロトピッなどで
誘発されることのある疾患として知られています。
治り難い皮膚病としても有名です。報告は、3つ分かれます。

症例
症例1ですが左が前医での、右が当院の治療です。
受診までの経過が長く4年あります。
マイクロスコープ像からウイルス性いぼの関連を疑い、
症例2は、左が前医で、右が当院での治療です。
受診までは、1年ですが、症状が激しい症例でした。
写真の拡大でウイルス性いぼの関連を疑い、
治療を開始しました。治療を開始しました。
治療期間は、半年以上必要でしたが、治癒に至りました。
推測ですが、治った理由を考えてみました。
1つ目は、免疫力に個人差があることです。
正常者と呼ばれる人にも極端に弱い人から極端に強い人までいます。
症例 1、2共に免疫力が弱い領域に属していると考えています。
症例1はその中でも弱く、花粉症がきっかけで再発し、通院中です。

2つ目は、疣贅の大きさ

 数B〜数10μ m間に広く分布すると推測しています。
2ミリ前後が最も多く、更に小型のものもあると考えています。


参考
いぼにステロイドを外用していた例です。
2番目は、印象深い例で、患者さん自身が
「イボなのにステロイドはおかしい」と疑っていました。
全例、疣贅として治療して軽快しました。
治り難くい皮膚病に遭遇した時に疑われることは、多数あります。
ウイルス性いぼの自然治癒反応も疑うことをお薦めします。
いぼの多様性
当クリニックでウイルス性いぼを疑ったもの
江川先生の文献からの参照ですが、
見た目も大きさも多様でした。(クリック)
今回の2症例は、青年性扁平疣贅に近いと考えています。
顔面の皮疹の拡大でいぼを疑ったものです。

まとめ

この報告でお伝えしたいことは3つあります。
一つ目は、小型の疣贅が、想像以上に多いことです。
肉眼で普段、いぼとして認識される領域ですが、
小型のいぼが、さらに広く分布していると考えています。
二つ目は、治り難い皮膚病の場合には、
ウイルス性いぼの自然治癒も考える必要があることです。
治り難い皮膚病で疑われることは、多数あります。
ウイルス性いぼの自然治癒反応も考える必要があります。
自然治癒に伴う反応は、様々な条件で変わりますので、
様々な皮膚病に関係する可能性があります。
三つ目は、免疫活性化が必要な弱者がいることです。
免疫力の個人差
皮膚病の免疫力は、大きく3つのグループに分けられると考えています。
ある程度以上強い人は、ステロイドなどでも治癒するグループ
二つ目のグループは、ステロイドを止めることで治癒するグループ
さらに弱いグループには、活性化が必要だと考えています。

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