発表内容

第 112 回 日本皮膚科学科総会 (2013/6/15)-横浜

050714 061514

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症例について 

Q1.酒さ様皮膚炎や口囲皮膚炎は、ステロイドの中止で自然治癒しませんか?

Q2.症例2が急激に悪化した理由を教えて下さい。


治療について

Q3. 保険は、どうしていますか?

Q4. この治療で気をつけることを教えて下さい。

Q5.スプレー式液体窒素の具体的な方法を教えて下さい。

Q6.非ステロイド抗消炎剤の痒み止めでかぶれませんか?

Q7.治療経過や期間について教えて下さい。


その他

Q8.この治療を始めたきっかけを教えて下さい。

Q9.扁平疣贅は、外来であまり見かけないです。

Q10.マイクロスコープや写真の拡大で診断が出来ますか?

Q11.この治療法で治り難くい場合ありますか?

Q12他にこの治療法が有効な難治の皮膚病はありますか?

Q13免疫力が強過ぎて来院することはありますか?

Q14ウイルス性疣贅の自然治癒反応に影響するものは?

Q15HPVが関連することは証明はされてていますか?



Q1..酒さ様皮膚炎や口囲皮膚炎は、ステロイドの中止で自然治癒しませんか?
 

A1.免疫弱者なので、ステロイドの中止だけでは治癒しない
例と推測しています。
症例1は、発症から受診までに4年経過しています。治療経過の詳細は不明ですが、
アズノールを使用した期間がありますので、
ステロイドを止めて治癒する人でしたら、治癒した筈です。
この点からステロイドを中止しても治癒しない免疫弱者だったのと推測します。
症例2は、発症から受診までに1年なのでどちらか分かりませんが、
症例1と治療経過は同様でした。
図に酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎)の人たちの免疫力の強さのイメージを
記載しましたが、ステロイド中止で治る人、免疫賦活が必要な人と、
中間の人も存在するのでないかと考えています。
症例1は、花粉症がきっかけで再発して再診しました。
この点からも免疫弱者と考えています。 免疫と治療イメージ

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Q2.症例2が急激に悪化した理由を教えて下さい。
 

A2.症例2は、初診時臨床が酷く10週目までマスクを着用されていました。
急激に悪化した原因は、鼻腔からブドウ球菌が感染した為だと
推定出来ます。
培養でブドウ球菌陽性でした。抗生物質が効果がありました。
念の為に抗生物質の外用は継続しました。

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Q3. 保険は、どうしていますか?
 

A3.ウイルス疣贅には、液体窒素療法が保険適応がされます。
医師には、裁量権があります。
医師がウイルス性疣贅が関連していると診断したら保険で行えると考えています。

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Q4.この治療で気をつけることを教えて下さい。

A4.ステロイドなどの免疫抑制的治療は、原因が残っていても
一時的に炎症を取るので、外用した時に症状(紅斑や痒み)が
減少するので分かり易いのですが、
この治療は、免疫を高めてウィルス性疣贅の排除反応を起こさせる
戦う治療なので、初期(1〜2目)に症状が出ては
見た目が悪化することがあります。
このことを初めに説明することが大事です。

自然治癒の経過 炎症で紅斑と痒み→角化(不全角化)→鱗屑(粉を吹く、頭だとふけが増える)は、治療経過なので問題ない説明しないと
通院をやめてしまうことがあります。

初期反応を抑えるために、ステロイドの外用を1〜3日することや、
酷くなった時の為の頓用薬としてステロイド外用薬を前もって処方すこともあります。
反応が強くサイトカインストームで寒気を伴う場合は
ステロイドの内服も必要です。

逆に免疫弱者には、漢方薬・ビオチン・セファランチン・ステビアなどの
免疫賦活を補助するものが必要です。
血行改善・冷え症・低体温なども有効な場合もあります。

抵抗力(自然治癒力)は個人差があり、個人に合わせた対応と経過に合わせた
臨機応変な治療が要求されます。

パピローマウイルスは、皮膚が傷つけられると増えます。傷から発症

 

皮膚を傷つけないことが、キーワードです。
界面活性剤・塩素・摩擦・掻爬も皮膚を傷っけます。

生活指導としては、塩素除去(過敏な場合:参考 塩素除去 へ)・
入浴方法などの改善が有効こともあります。入浴について

ー例ー

1,頭に症状がある場合は、シャンプーを使うのを週一度以下か中止を薦めます。参考 シャンプーの歴史

顔面に症状がある場合は、石鹸を出来るだけ使わない洗顔を提案しています。

2.身体の場合は、ボディーソープやボディーブラシ、ナイロンタオルは止めて、
「固形石鹸を泡立て手でそっと洗うよう」薦めています。
固形も石けん素地の石鹸をお薦めしています。入浴について

「液体のカリ石けん素地は、強アルカリなので危険です。」と注意しています。
「カリ石けん素地」

3.摩擦部位に病変がある場合は、

金属の時計のバンド・大きな金属のバックル・指輪・ネックレスなどが原因のことがあります。悪化原因と注意点

4.掻爬対策としては、抗ヒスタミン剤・漢方の内服や非ステロイドが中心ですが、
酷い場合はステロイド外用剤の短期間使用も必要です。

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Q5.スプレー式液体窒素の具体的な方法を教えて下さい。
 

A5.液体窒素凍結療法・・3つの作用相の内の免疫作用相を期待して免疫の活性化を
目的に行っているので、ノズルAを使用していますが、
持つ手の脇をしめて離して比較的弱めに行っています。

参考文献 3

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Q6.非ステロイド抗消炎剤の痒み止めでかぶれませんか?
 

A6.殆どないと考えています。非ステロイド抗消炎剤は、ステロイドでないので
、初期に起こる強い反応は止まらないので、初期反応の紅斑などの症状を
かぶれ(接触性皮膚炎)と勘違いされることが多く、
皮疹が無い場所(肘窩など)で自己パッチテストを実施しても殆ど陰性です。
想像以上に,かぶれ(接触性皮膚炎)は、極希と考えています。

参考)非ステロイドの痒み止め

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Q7.治療経過や期間について教えて下さい。

A7.治療経過も個体差があるので一定ではありませんが、
安定するのに5〜10回くらいと説明します。

5〜10回を過ぎない間は、徐々に小さくなるがに波があると説明しています。
治療期間は3回以内か15回位ですと説明しています。

参考 治療期間の統計へ

1回で治癒する人もいますし、7回くらいか15回くらいの人が大半ですが
20回以上の人もいます。
希に限りなく、抵抗力が弱く、経過が数10年位長い場合は、さらに長期間必要です。
個人の本来の能力差なのか?パピローマウイルスの種類の差なのかは不明です。
両方が複合的に関連していることもあると考えています。

参考 抵抗力の個人差へ

 

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Q8.この治療を始めたきっかけを教えて下さい。
 
A8.リンゴが落ちたのが先です。
開業当初からスプレー式液体窒素とマイクロスコープがありました。
スタッフや同僚がスプレー式液体窒素で偶然治ったことから数年かけて徐々に
対象疾患が増えています。現在もさらに増え続けています。
参考)ウイルス疣贅の関連を疑う皮膚病へ

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Q9.扁平疣贅は、外来であまり見かけないです。
.
A9.理由が二つ考えられます。
一つ目は、小さい扁平疣贅は、余り気にならないので、
受診しない人が殆だと思っています。

二つ目は、疣贅の多様なのに加えて、かゆみや発赤など症状が出た時に受診するので、
症状に隠れて見逃されている可能性があります。
病期によっては、血管拡張・紫斑・角化や鱗屑が前面に出ることもあります。

見逃した場合でもウィルス性疣贅自然治癒反応なので一時的にステロイド等で症状が
止まっている間に自然治癒が進み治癒する人が大多数だと考えられます、


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Q10.マイクロスコープや写真の拡大で診断が出来ますか?

A10.確定診断は出来ません。血管の造成や乳頭状の角化から
ウイルス疣贅の関連が高いとしか言えませんが、
水虫の顕鏡検査やダーマスコプの様に診断の補助手段です。


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Q11.この治療法で治り難くい場合ありますか?

A11.大きく3つあります。

1つ目は、体質:免疫力が弱い老人・糖尿病・癌・抗がん剤・ステロイド内服中・経過が長い・症状が重症・ウイルス性疾患(単純性疱疹・帯状疱疹など)は、治り難い傾向があります。

2つ目は、精神的:性格でアドヒアランスが悪いか、長期の治療で患者さんが治療を諦めている場合と医師が治癒を諦めていてモチベーションが低いとアドヒアランスの
低下につながり通院が不定期・服薬遵守(コンプライアンス、内服も不規則)になり治療が進まないことがあります。参考)漢方のコンプライアンスが悪い場合の説得

さらにに性格の為か、ステロイト外用に依存、掻爬、たばこをやめられない人がいます。

3つ目は、合併:細菌(ブドウ球・溶連菌など)・真菌(白癬菌・カンジダ菌など)花粉症・食べ物アレルギーなどや蕁麻疹体質で痒みの症状が強い人は、掻爬行動が激しく、治療に苦慮します。

 

その他の要因:妊娠希望中・授乳中・妊娠中なので内服治療が十分に行えない場合や受験・仕事・学校・遠方などの社会的要因で規則正しく治療が行えない。

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Q12.他にこの治療法が有効な難治の皮膚病はありますか?

A12.皮膚疾患の7〜8割にウィルス性疣贅自然反応が関係していると考えています。難治のアトピー性皮膚炎・脂漏性皮膚炎・水虫・水いぼなど、長期に治癒しない場合は、免疫賦活的治療に切り替えることをお薦めします。

参考)ウイルス疣贅の関連を疑う皮膚病へ

 


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Q13.免疫力が強過ぎて来院することはありますか?

A13.希にあります。極端に強い人と、自然治癒の症状が激しいので、
短期的な免疫抑制的な治療が必要な症例もあります。

ある程度強い人は、自然治癒するので、来院しないと考えられます。
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Q14.ウイルス性疣贅の自然治癒反応に影響するものは?

A14.病期・年齢・個人の免疫力の強さや反応仕方の差やHPVのタイプ(
標的細胞の差、反応の仕方など)・重傷度(HPVの数・感染細胞の数)
これらの違いによって様々な病型を示す可能性があります。

原因が同じでも沢山の皮膚病名があると考えています。

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Q15.HPVが関連することは証明はされてていますか?

A15.いいえ、当初は証明する方法がないかと数年間模索しましたが、
無理という結論にたしました。参考)HPVの証明が難しい訳

考えを変えてこの治療法を広めて研究者の関心を集め未来の進歩に
期待しようと思っています。
皆様も是非、受け入れて試してみて下さい。
この治療法が広がることによって
大学などの研究機関の先生にも興味を持って戴けると考えています。

 

始める場合は、スタッフや身内で始めて頂くと効果が実感して頂けると思います。
チャレンジして下さい。皮膚科の発展にも皮膚病の患者さんにもいい筈です。


 

 

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