子供の時になった水痘と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、
神経の付け根に残っていて、体調が悪いと活性化され、1本の神経支配領域に添って出来ます。
経過は多少ずれることがありますが、普通は3~5日位で皮膚の表面に現れて
初期は赤い皮疹を作り1~2日位すると水膨も出来ます。
早期に内服開始が大事です。片側に急に皮疹又は痛みが出ると疑いがあります。
皮疹が軽く・痛みが出てなくても早期に治療を開始すると楽に終れる病気です。
皮膚に出来る前から痛みが出現することが多く、痛みの強さは非常に耐えられない強い痛みの人と我慢できる程度の人と稀に全く痛みを伴わない人もいます。痛みではなく痒みを伴うこともあります。
間違え易い病気には、皮疹が出た場合は虫刺され・湿疹です。
皮疹が出て来る前は、痛みの場所に依っては、脳外科(くも膜下出血など)・眼科(緑内症)耳鼻科(中耳炎など)・整形外科(腰痛・関節痛・肋間神経痛など)内科(狭心症・胃潰瘍・腹痛・気胸など)といった
他科を受診する場合が比較的多く、
他科で疑われた病名が否定されてから皮膚科に来院するため治療開始が遅れることがしばしばあります。
皮疹・痛み・痒みの範囲が片側の場合は、まず皮膚科の受診をお勧めします。
範囲が片側なのは、神経が背部から左右別々に出ているからです。片側性なので他の病気と区別がつきやすく、
特徴的な皮疹が多く、経過も幾つかのパターンはありますが、比較的決まった経過です。
皮膚科医には、簡単に診断がつきやすい皮膚病の1つです。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛は、皮疹が良くなっても痛みが長期間(1か月以上)残ることがあります。
治療が遅れると高齢者ほど痛みが残ることがあります。
この痛みは帯状疱疹後神経痛と言われています。
数ヶ月~数年間痛みが残って苦労することがあります。
低年齢者の帯状疱疹後神経痛は殆どありません。
年齢と共に増加する傾向があると言われています。
特に高齢者は十分注意が必要です。出来るだけ早期の治療と初期からの
積極的な痛みに対する治療が必要です。
帯状疱疹の治療は早期に開始することが大事です。
帯状疱疹後神経痛を起こしやすい人
高齢者(特に七十歳以上)・糖尿病・膠原病・抗ウイルス薬の内服や点滴が遅くなった人・
神経質な人などいろいろな条件が重なった場合に起こることがあります。
健康な成人・子供にも出来ることがあります。
2010年に痛みに効果のある画期的な薬が出ました。
皮膚病の主な病因生物の種類と大きさ比較 神経分布
稀には、「皮疹なし」・「皮疹のみ」・「痒みのみ」・「典型でない皮疹」
「痛みなし」があります。
- 皮疹が全く出ずに、帯状の痛みのみ出現し診断に苦慮する場合があります。
血液中抗体の検査が診断に役立つことがあります。
- 皮疹があるのに全く「痛み」も「痒み」もない人がいます。
- 「痛み」はなく「痒み」のだけの人も、途中で「痛み」から「痒み」に変わる人もいます。
「痒み」は「痛み」と同じ神経に弱い、刺激で出ると言われています。痛みではなく「痒み」が出ても構いません。
「痒み」は、神経・皮膚の修復過程に関係して起こることがあります。
- 典型でない皮疹 準備中
帯状疱疹は、抵抗力(免役)の低下が関連していることがあり癌が潜んでいることがあるので
高齢者や体重減少・食欲不振などがある場合は注意が必要です。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、おもに幼児期に水痘(みずぼうそう)として発症します。
極く稀ですが、子供の時に水痘になっていない人が成人にも水痘を発病することがあり、
重くなっり入院が必要にあることがあります。
水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節に残っていて成人になって帯状疱疹として現れます。
水痘になってなっていない人に水痘として感染します。皮疹がある期間は、
子供との入浴を避けた方が無難だと思います。
最近は、子供の時に水痘の予防接種している人が多く、
分からないくらい軽く水痘になっていることもあります。
一度、帯状疱疹になると二度なる人は、100人に1人くらいと言われています。
近年、再発率はやや増加傾向があります。
普通は、一生に一度と考えていいと思います。20~30回出来た人の経験もあります。
再発する時は、前回と同じ場所に出来易い傾向があります。
抵抗力(免役)が弱い人に皮疹が大人しく発症(中途半端)すると
充分な抵抗力(免役)が出来なくて再発を繰り返すのかもしれません。
逆に抵抗力(免役)が強くて、皮疹が軽症な場合もあります。
皮疹の出方だけで再発し易さの判断は難しいことです。
入院が必要な場合
- 頭痛や吐き気がするとき
- 範囲以外に点状の皮疹が出来たとき
- 高熱(個人差があるが39~40℃)が出たとき
点滴が必要なので入院設備のあり、出来れば皮膚科のある病院に受診してください。
UP
治療
ウイルスに直接効果のある薬があります。
抗ウイルス剤;ゾビラックス・バルトレックス・ファムビルなどは直接ウイルスの増殖を抑える薬です。
現在は耐性の報告はありません。水痘・帯状疱疹ウイルスと単純性疱疹ウイルスは、
同じヘルペス属ですが異なるウイルスなので
感受性は違うため量は異なりますが同じ薬が効きます。
ゾビラックスは成人も場合、1日5回の内服ですが、ジェネリックも存在します。
ジェネリックの効果については、使用経験が少ないので何とも言えませんが、
ジェネリックを先発品に変えて急に回復に向かった例を1例経験しました。
バルトレックスは、ゾビラックスを改良した抗ウイルス剤です。
ファムビルは、バルトレックスをさら後に出た薬です。
ゾビラックス400錠は、吸収が悪く1回2錠で1日5回に分けて飲む必要があります。
朝、昼、夕、おやつ、寝る前の5回で通常は7日間飲みます。
バルトレックスは、吸収がよく1回2錠を1日3回で、点滴に匹敵する血中濃度が得られます。
その為か点滴で稀に早期(内服開始1~2日目)に見られる
激しい疼痛がバルトレックス内服でも起こることがあります。
稀に脳症・腎障害の可能性があり十分注意が必要です。
特に腎機能障害がある人や透析患者さんや高齢者は十分注意して下さい。
子供用にゾビラック粉薬があります。バルトレックスも小児に処方可能になりました。
ゾビラックス/バルトレックス/ファムビルは、処方箋がないと手に入らない薬で市販薬ではありません。
高価な薬で保険なし(自費)では、高額な薬です。保険が適応されても高額です。
帯状疱疹によく処方されるメチコバール(ビタミンB12)神経にいいビタミンといわれています。
補助的な薬ですが痛みが、取れるまで続けます。
我慢できない痛みがある場合は、痛み止めを内服してもらいます。
胃に負担がかかるので胃薬を併用して飲む必要がある場合もあります。
痛みが取れるまで続けます。効果が無く痛みが続く場合は、
他の種類の薬を飲んでもらうこともあります。
痛みが取れない場合は、適応外ですが経口のキシロカイン・三環系抗うつ剤などを
処方すると効果がある場合があります。
その他にも可能性がある内服薬はあります。
それでも痛みが取れない場合はペインクリニックなどでの治療が必要です。
現在は、画期的な内服薬が販売されています。
日常生活
ウイルスに効く薬は飲んでいるのですが、体の抵抗力も協力してウイルスと戦った方が良いですが、
仕事などは休んで1週間程度自宅安静の方が良いので、
診断書が必要でしたら申し出てください。
入浴時間は短めにして、ジョギング、水泳、寝不足など
身体に負担がかかることは避けて下さい。
水疱ができていたり破れている時の入浴は避けてください。
この時期は、水疱瘡になっていない子供にうつりますので接触を避けてください。
成人に帯状疱疹がうつるということはない言われています。
発症の誘因として考えられていること
風邪、疲労、紫外線、打撲傷、悪性腫瘍(がん)、急激なダイエット、
膠原病でステロイド内服などがあります。
血縁の親族に帯状疱疹を発症した人はなりやすい
家系なのでリスクが高い印象があります。
検査
診断確定と原因を調べるために、血液検査を行うことがあります。
病気を確かめるために、初診の時と1週間後に帯状疱疹に対する抗体を調べることがあります。
皮疹がない場合に抗体の上昇で証明出来る場合があります。
水泡形成した場合は、迅速診断として水疱内からの巨細胞・ウイルスが証明が出来ます。
ウイルスを直接証明することも出来ます。
抗体とは、この場合は水痘帯状疱疹のウイルスに対して体が、防御のために生体が作るものです。
優位な差と認める為には、初診の時と2週間後を比較すると、
4~8倍に抗体が増えることが必要と言われています。(通常ペア血清と言われています。)
稀に、再発を繰り返す人の中に明らかな
帯状疱疹であるにもかかわらず、抗体の上昇がハッキリしない人もいます。
急激な体重減少・下血・便通異常などがある場合は、追加検査をしたり他科での精査が必要な場合もあります。
関連疾患 水痘