アトピー性皮膚炎に対するクラオプロの効果/臨床的データー収集3-16

典型的な経過の一例です。データー収集3からは、出来るだけ写真とマイクロスコープを撮り始めました。実際のデーターは下段にあります。
ただし、写真撮影とマイクロスコープ施行には、時間が必要なので混雑時には、
無理なので完璧なデーターは、余り取れていませんが、協力的な患者さんで珍しくデータが揃いました。
 コメント

現在通院中で余り経過データーはありませんが、マイクロスコープ像が興味深いので早期にアップしました。現在通院中ですが、経過データーが24週に達したのでupしました。

アトピー性皮膚炎の罹患期間
ステロイド叉はプロトピックの使用歴
25年
有り
経過の評価法
データーの記載方法 SCORADで行っています。  

全般改善度(SCORADで評価)

クラオプロ合計(回数)

クラオプロ 充足率
1回/週=100%

26
108%

グラフ

痒みの推移(VASで評価0〜10)

不眠の推移(VASで評価0〜10)

写真
初診時
経過:27週後
マイクロスコープ
初診時
背中
背中
背中
指先
マイクロスコープの経過
ボタンをクリックで拡大が開きます。
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コメント

肉眼的にも丘疹(ブツブツ)が明らかでなく紅斑(赤み)と色素沈着が目立ちますが、マイクロスコープで確認すると背中の紅斑部に角化性丘疹と痂疲化した黒色の丘疹が観察されます。小さい尋常性疣贅(いぼ)が多発していてその周囲に排除反応によって起こる炎症が、肉眼的に紅斑とそれに伴って生じる炎症後色素沈着が肉眼的な臨床像(見た目)を形成している様に見えます。

指先の爪床と指先の皮膚の角化が観測されます。掻爬の為か多くのアトピー性皮膚炎で同様な所見がしばしば観察出来ます。

参考)治療中の足底の尋常性疣贅(いぼ)
 初診 2007.7.23

29才 男性 

他の皮膚科でアトピー性皮膚炎として治療。抗真菌剤・ステロイドの合剤で軽快せず、むしろ半年前から悪化傾向があります。
ネットで当院を見つけ、神奈川県の別の市(距離28km位)から通院しています。
伝染性軟属腫・既往ありがあり、足底に尋常性疣贅もあります。

本人 スギ花粉症

家族歴

母:花粉症

癌:父方祖父、祖母、母方叔父

検査結果

7.23の好酸球数=836./mm3

2.6の好酸球数=208/mm3

アトピー素因*
危険因子**
3.5ポイント
3ポイント
ステロイドの総処方量 g
痒み止めの総処方量 日数
50g
24週
  

その他、治療

初診時に二次感染の為の抗生物質内服1週間と保湿剤・痒み対策の為にレスタミン・L-メントールmixも処方しています。

経過
臨床

初診から1ヶ月は、週1回以上のペースで来院しています。クライオプロの充足率も100%を越えています。本人の実感としてクライオプロは、今までの治療より明らかに効果を示しました。痒みと不眠は、早いペースで改善していました。皮膚の改善面積が少ないので、全般改善度(SCORAD)の低下は遅れ気味でしたが、重症→中程度→軽症に低下しました。後半の急激な低下と脱塩素浴・柴苓湯との因果関係は、不明です。経過中のステロイド外用剤の総処方量は、50gです。痒み止めは、図には記載してありませんが・全期間内服しています。


マイクロスコープ

初期に観察された小さい尋常性疣贅(いぼ)が多発は、速やかに消失しましたが、臨床的にかなり回復した所もマイクロスコープ上は、角化傾向が残り、毳毛(うぶ毛)の発毛もまばらです。下肢・腕には、肉眼的に初期から発毛が観察されました。指先にも明らかにマイクロスコープ上は皮疹が残っています。
*小さい尋常性疣贅(いぼ)の多発像は、他のアトピー性皮膚炎の患者では殆ど観察されません。
指先の角化像は、多くの例で観察されます。


検査結果

好酸球・LDHは、明らかに経過と一致して軽快しています。IgEの値は元々、重症の割に高くなく軽快後も上昇傾向があります。IgEと病勢とは相関関係を認めませんでした。

*アトピー素因:気管支喘息・アレルギー鼻炎・アレルギー結膜炎・アトピー性皮膚炎(花粉症はアレルギー鼻炎叉アレルギー結膜炎として換算)

**危険因子:糖尿病・癌・尋常性疣贅・伝染性軟属腫・単純性疱疹・帯状疱疹

本人は1ポイント  2親等以内の家族は0.5ポイントとして計算した。

 

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