子供の虫刺され
子どもは大人と比べると腫れやすく、場所によっては過剰に腫れることがあります。
掻くと「とびひ」や「いぼ」を誘発することもありますので、
初期の対応として、掻かないことが大事です。
刺されると強い痛みを感じる虫や死亡に至る虫もいます。
子どもはブレーキが未発達なので、成人より腫れやすいです。
大人は虫に刺されても、ある程度でブレーキが掛かるため、さほど大きく腫れません。
しかし、幼児はこのブレーキが未発達で、大人と比べると大きく腫れます。
子どもは炎症を鎮めるための免疫機構のブレーキが未発達で、
上手くブレーキが掛からずに暴走してしまうためです。
このブレーキは成長と共に発達して、だんだんと働くようになります。
成長の度合いは個人差があり一概には言えませんが、
幼児より学童のほうが腫れやすい人数の割合が減ってきます。
学童期は成長速度の個人差が激しく、大きく腫れる子から腫れにくい子までいろいろです。
まれに大人でも、ブレーキが上手く掛からずに大きく腫れる人がいます。
極端に腫れやすい人は専門医による治療が必要です。
虫に刺されて毎回発熱する場合は、重大な病気が潜んでいる場合があるので、
大学病院等で特別な検査が必要になります。
過剰に腫れる人は、ブレーキが必要です。
ブレーキを掛けるには、できるだけ強いステロイドを短期的に外用すると有効です。
ステロイド恐怖症の人もいますが、酷いときに短期的なステロイドの外用を拒絶するのは、
火事のときに濡れるのが嫌だから水をかけないのと同じです。
顔と手足は強さの異なるステロイドを使い分けるのが一般的です。
掻くと他の皮膚病も引き起こす
虫刺されは痒いので、つい掻いてしまいます。そうすると皮膚が傷ついて、
「とびひ」「いぼ」などを誘引する原因になります。
「とびひ」は、傷にブドウ球菌や溶連菌が感染してできます。
「いぼ」は皮膚が傷つけられると増加するので、掻き壊すと増えます。
自然治癒反応で痒みが出たときに掻くことを繰り返すと「とびひ」になります。
「とびひ」を起こすバイ菌は皮膚を壊して傷つけます。
これで「いぼ」が増え、自然治癒反応の痒みが出て、掻く原因になります。
虫刺されを掻くことで、この悪循環が始まる場合があります。
急に広がったら、「とびひ」を疑ってください。
同じ場所に2週間以上、痕が残っていたら「いぼ」を疑って、
専門医に見せることお勧めします。前者は早期の治療が必要です。
虫刺されは、早く痒みを取ることが重要です。
薬がないときは、冷やすと痒みは軽減されます。
専門医を受診して、虫刺され専用の薬を処方してもらい、
火事は「ぼや」のうちに消したほうが消えやすいのと同様、
できるだけ早期の対応が有効です。このステロイドは強力なので、
他の皮膚病への流用は避けてください。
想像以上に腫れやすい場所があります。
リンパの流れを止める場所や組織がルーズな場所は、想像以上に大きく腫れて驚くことがあります。
手首、足首、目の周り、耳は大きく腫れます。実際の写真
大きな腫れはツベルクリン反応と同様に2日目くらいがピークになります。
その後は1週間くらいで徐々に引いていきます。
このことを知っていると、想像以上に腫れたときに慌てなくてすみますし、
保護者に伝えておくことも必要です。
痛い虫刺され
ハチ、ムカデ、イラガの幼虫、ブユがあげられます。
刺されたら、まず局所を冷やしましょう。
ハチの虫刺されは夏から秋にかけて多く、8月がピークです。
ハチで起こる有名なアナフィラキシーショックでは、
一度ハチに刺されてから10日以上経って二度目に刺されると、
15分ほど後に呼吸困難や血圧の低下などが起こり、命が危なくなります。
国内の年間の死亡数は、交通事故の4000〜5000人に比べると大変少ないのですが、
毎年約10〜20人は命を落としています。殆どが、40歳以上の男性です。
イラガの幼虫はウミウシに似たカラフルな虫です。
夏期にカエデ、柿、桜、バラに発生し、うっかり触れると電気が走るような激しい痛みがあります。
駆除と触れさせないようにする指導が大切です。
ブヨは河原や草原などで刺されることが多い虫です。
皮膚を噛み切って吸血するので、痛みを伴うことがあります。
ムカデに刺されると痛いのは有名で、アナフィラキシーショックが起こる可能性もあります。
国内での死亡例はありません。
珍しく怖い虫刺され
野外に潜むマダニに咬まれた際は気をつけてください。
ウイルスで起こるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を引き起こすことがあるからです。
致死率が29・1%という統計が出ています。
外来種のセアカゴケグモは温暖化で生息域が徐々に日本列島を北上しています。このクモに咬まれると、
毒性が強いために筋肉が麻痺するなどの症状が出ます。
咬まれたときは、直ぐに医療機関を受診するようにしてください。
このクモが生息する地域の方は、外出時はサンダルを履かないなど、
肌の露出を抑えることも大事です。