化膿止め(抗生物質)

 Topに戻る ちかかね皮膚科

011211

 

 
 

抗生物質は、ウィルス・真菌(カビ)・虫には、効果がありません。
有効なのは、細菌(バイキン)とスピロヘータ・結核菌・クラミジア・淋菌・リケッチャ・マイコプラズマです。
ウィルスに効く薬は少ないのですが、抗ウィルス薬と呼ばれます。
真菌(カビ)に効果のある薬は
抗真菌劑と言います。
虫に効果のある薬りは殺虫剤と呼ばれます。
抗生物質の始まりは、ペニシリンでカビから有効成分を抽出しただけのものでしたが、現在は、抗生物質はその有効成分を分析し形を変えてより効果の強いものを作り出しています。最初から人工的なものもあります。



 

抗生物質の効果があるのは、細長いバイキンの梅毒スピロヘータとピロリ菌を除くと結核菌以下でマイコプラズマ以上の大きさのバイキンです。


皮膚病の主な病因生物の種類と大きさ比較

主な飲み薬の抗生物質

系統
主な
抗生物質名
主な適応症
主に皮膚
主な副作用
コメント
ペニシリン系

アミペニックス
ビクシリン

溶連菌感染症
淋菌・梅毒など

発疹・ペニシリンシック・下痢など

ペニシリン系とセファム系は、同じβラクタム系の抗生物質なのでアレルギーが出ると交差感作があることがあります。

サワシリン

溶連菌感染症
淋菌・梅毒など

発疹・ペニシリンシック・下痢など

消化菅での吸収率が改善されています。

ユナシン
オーグメンチン

膿痂疹・毛嚢炎・せつなど

下痢・発疹

合成ペニシリンβラクタム分解酵素を阻害する薬を含んでいます。

セファム系

ケフレックス

膿痂疹・毛嚢炎・せつなど

下痢・発疹

第一世代

ケフラール

膿痂疹・毛嚢炎・せつなど

下痢・発疹

第一世代

オラセフ

膿痂疹・毛嚢炎・せつなど

下痢・発疹

第二世代

セフゾン

伝染性膿痂疹・化膿・二次感染

下痢・発疹

第二世代1日3回ですが、ドライシロップが美味しいと評判す。

バナン

伝染性膿痂疹・化膿・二次感染

顆粒球減少症・下痢・発疹・ショック

第三世代で1日2回ですが、ドライシロップが苦いと評判です。

フロモックス

伝染性膿痂疹・化膿・二次感染

下痢・発疹

第三世代。1日3回ですが、ドライシロップが美味しいと評判す。

カルバペネム系

ファロム

抗菌活性領域が広い。

下痢・ショック

ペニシリン系セファム系から発展した新しい系です。
注射薬が殆どです。

テトラサイクリン系

ミノマイシン

尋常性ざ瘡
非典型好酸球症など

めまい
皮膚・歯・骨色素沈着、肝障害

類天疱瘡にも使用されます。(保険適応外)

ビブラマイシン

尋常性ざ瘡

消化管潰瘍
皮膚・歯・骨色素沈着、肝障害

飲んですぐ寝転がると危険です。

マクロライド
(耳鼻科で長期投与されることがあります)

エリスロマイシン

マイコプラズマ肺炎など

吐き気・むかつき

古い薬で内服の回数が4〜6回/日なので余り使用されません。

ルリッド

尋常性ざ瘡

上記の副作用が少ないとされています。

長期投与で酒さ用皮膚炎にも効果があるとの報告があります。

クラリス

クラリシッド

紅色陰癬
非典型好酸球症など

上記の副作用が少ないとされています。

回数が2回/日なので使用しやすい薬です。

ジスロマック

膿痂疹・毛嚢炎・せつなど

上記の副作用が少ないとされています。

3日朝1錠内服で1週間効果あります。

ニューキノロン系
(炭疽菌にも効果があります。)

クラビット

泌尿器系に強いが、抗菌活性が強く広いので嫌気性菌も効果あり、クラミジアなどにも効果があります。

頻度は低いが過敏症・中枢神経障害・下痢など

子供に適応がありません。
妊娠中は使用出来ません。

カチフロ

抗菌活性がさらに広い好気性菌も効果あります。

頻度は低いが過敏症・中枢神経障害・下痢など

最近の開発された肺炎球菌・マイコプラズマなどへの抗菌力が強化されています。

アミノ配糖体系

カナマイシン

結核・野兎病

めまい、耳鳴り、腎障害などの頻度が高い

通常は殆ど使用されません。

その他
抗菌剤

ホスミシン

病原性大腸菌O-157の薬として有名です。

肝障害

最も小さい抗生物質でアレルギーを起こし難くいとされています。
他の抗生物質との併用でMRSAに効果を示すことがあります。

ダラシン

皮膚・皮下組織の感染症

下痢、偽膜性大腸炎を起こす可能性あり

他の抗生物質の効果が無い場合にも効果を示すことがあります。

バンコマイシン

MRSA感染症

腎障害

MRSA*に対する最後の切り札です。


耐性菌とは、従来効果のあった抗生物質に対して何らかの方法で
抵抗力を得た菌で抗生物質が効かなくなった菌のことです。

 

抗生物質の進化は、耐性菌との戦いの歴史と言われています。
耐性菌を出来るだけ作らない抗生物質の使用を心がけるべきです。


MRSA*とは、Methicllin(セファム系)にresistant(抵抗性)の
Staploccus aureus(黄色ブドウ球菌)の略です。
メチシリン以外にもの殆どの抗生物質に耐性(効かないこと)なので重大な感染症の原因になります。
院内感染で死亡することもあります。
皮膚科では、MRSAに依る
伝染性膿痂疹(とびひ)が問題です。

 

外用剤で有名なゲンタシンは、アミノ配糖体系抗生物質でめまい、耳鳴り、腎障害などの副作用の頻度が高く飲み薬はありません(注射薬はあります)。効果のある抗生物質ですが使われる頻度が高く30%位のブドウ球菌陽性が耐性菌になっています。

抗生物質や抗菌剤は日々新薬が出来ているのでこのページに記載されていないものも沢山あります。

 

 Topに戻る ちかかね皮膚科